Achieving Single-Orientation VO2 Films by Substrate-Tuned Topotactic Oxidation

Achieving Single-Orientation VO2 Films by Substrate-Tuned Topotactic Oxidation

トポタクティック反応は、さまざまな機能性材料の高配向結晶薄膜を作製するための有望な手法である。しかし、従来のトポタクティック反応では、反応前後の結晶の対称性に依存して、複数の配向ドメインを持つ多結晶薄膜が生成されることが多い。本研究では、生成結晶の配向に影響を及ぼす新たな重要因子を明らかにするとともに、トポタクティック反応によって単一配向の VO2 結晶薄膜を作製するための戦略を提案した。

VO2 の酸化過程で形成される結晶配向を支配するメカニズムを解明するため、面方位が異なる(C 面、M 面、R 面、A 面、N 面)サファイア単結晶基板上にV2O3 薄膜をエピタキシャル成長させ、その酸化挙動を詳細に調べた。その結果、基板表面に対する前駆体 V2O3 薄膜の配向が、生成される VO2 薄膜の配向ドメイン数に強く影響することが明らかとなった。具体的には、C 面基板上では 3 つの配向ドメイン、M 面および R 面基板上では 2 つの配向ドメイン、A 面および N 面基板上では 1 つの配向ドメインを持つ VO₂ 薄膜が形成された。

このような配向ドメイン数の違いは、トポタクティック変態に伴う異方的な格子収縮に起因する。変態は、界面での格子不整合が最小となる方向へ優先的に進行する。以上の知見は、トポタクティック反応を利用した配向制御の理解を深め、高性能薄膜材料の開発に新たな道を開くものである。

Hisato Nishii, Takumi Ikenoue, Masao Miyake

Cryst. Growth Des. 2025, 25, 21, 9268–9274