Role of BiCl3 Additives for Aluminum Electrodeposition in Aluminum Trifluoromethanesulfonate-Based Electrolytes: A Critical Evaluation

金属アルミニウムを負極に用いた充電可能なアルミニウムイオン電池(RAIBs)は、アルミニウム金属の豊富さ、低コスト、大容量といった利点から注目を集めている。RAIBs 用の電解液として、AlCl3 を Al イオン源として含むものが広く研究されているが、高い吸湿性と電池部材に対する強い腐食性が問題となっている。そこで、AlCl3 系に代わる電解液として、活性ハロゲンフリー(AHF)の電解液の開発が進められている。しかし、AHF 電解液中で可逆的なアルミニウムの電析・溶解を実現できることを示す十分な証拠は示されていない。近年の研究では、トリフルオロメタンスルホン酸アルミニウム-1,2-ジメトキシエタン(Al(OTf)3–DME)電解液にBiCl3を添加することで、可逆的な Al の電析・溶解が可能になることが示唆されている。そこで本研究では、Al(OTf)3–DME電解液における Al 電析の可能性を検討した。サイクリックボルタンメトリーおよび定電位電解の結果、BiCl3 の有無を問わず、Al(OTf)3–DME電解液では Al の電析は実現されなかった。また、BiCl3 を添加すると、可逆的なビスマスの電析・溶解が確認された。先行研究では、Bi の反応による電流を Al の電析・溶解による電流と誤認していたと考えられる。AHF 電解液が RAIBs に適しているかを評価するためには、Al 電析の直接的な証拠を得ることが重要である。

Jingda Wu, Takumi Ikenoue and Masao Miyake

Journal of The Electrochemical Society, 172 (2025) 042505