深紫外発光ダイオード(DUV-LED)は、水銀ランプに代わる環境に優しい光源として注目されている。本研究では、MgO–NiO–ZnO系半導体をDUV-LEDの材料として検討した。さまざまな組成のMgO–NiO–ZnO膜をミストCVD法により成長させ、X線回折(XRD)、エネルギー分散型X線分光(EDX)、紫外可視分光分析(UV-Vis)を用いて評価した。その結果、膜のZnOモル分率が0.26以下の場合は岩塩構造単相となり、それを超えると相分離が生じることが明らかになった。また、格子定数と組成の関係はVegard則に従い、MgO–NiO–ZnO膜の組成がMgx(Ni0.67Zn0.33)1−xOのとき、MgO–NiO–ZnO結晶がMgO基板と格子整合することが示された。紫外可視透過スペクトルから求めた岩塩構造MgO–NiO–ZnOのバンドギャップは5.4 eVから5.8 eVの範囲にあり、MgO含有率の増加に伴い拡大した。これらのバンドギャップ値はDUV-LED用途に適する。MgO–NiO–ZnO半導体を用いることで、格子歪みがなく、高効率なDUV-LEDが得られる可能性があることが示された。
Shintarou Iida, Takumi Ikenoue, Masao Miyake, Tetsuji Hirato