様々な三次元(3D)ポーラス金属の作製法が開発されている。しかし、電池集電体としての利用が期待される、孔径がミクロンサイズで、空隙率が 60% を超える 3D ポーラス Al を作製することは依然として困難である。本研究では、Al-Zn 合金から Zn を選択的にエッチングすることで、3D ポーラス Al を作製する新しい方法を検討した。具体的には、Al 相とZn 相からなる微細構造を有する Al-Zn 合金を濃硝酸中でエッチングする。Al 相は不動態化する一方で、Zn 相が選択的に溶解するため、金属 Alからなる 3D 多孔質構造が形成される。孔径と空隙率はそれぞれ、エッチング前の Al-Zn 合金中の Zn 結晶粒径と体積分率と一致することが確かめられた。したがって、エッチング前の Al-Zn 合金の結晶粒を熱処理によって成長させることにより、大きな細孔径を有する多孔質 Al が得られた。さらに、リン酸を用いたエッチングにより、ポーラス Al の孔径および空隙率はさらに増大した。熱処理とエッチングを組み合わせることで、平均孔径 0.4~2.4 μm、空隙率 60~80% の 3D ポーラス Al が得られた。
Masao Miyake, Yuya Tanaka, Takumi Ikenoue, Tetsuji Hirato
Journal of Materials Science, Volume 58, pages 8169–8177, (2023)